1.α遮断薬・αβ遮断薬にはどんなお薬があるの?

まずは、どんなお薬があるのか、確認してみましょう!
※ここでは商品名を「新薬(先発医薬品)」の名称で記述していますが、昨今、多くのジェネリック医薬品が出ているため、名称が様々あります。この一覧に該当医薬品がない場合や、ご不明な場合は、薬剤師に相談してみましょう。

2. どのように体の中ではたらいて、血圧を下げるの?

1)交感神経のはたらきと血管の収縮

前回の復習になりますが、体が活発に活動した時(例:運動など)にはたらく神経が「交感神経」になります。

この交感神経の伝達物質(アドレナリン、ノルアドレナリン)が受容体に作用することで運動時のような興奮状態になります。

この受容体の1つに「α受容体」があり、血管に多く存在しています。伝達物質が血管のα受容体に作用すると、血管を収縮させ、血圧が上がるようになっています。

2)α遮断薬登場!血管を拡張し、血圧を下げる

伝達物質が血管のα受容体に作用するのを妨げるのが、α遮断薬になります。[α受容体には、α1とα2の2つのタイプがありますが、降圧薬としては、より血圧を下げる効果が期待できるようα1受容体を選択的に妨げます。

その結果、交感神経のはたらきをおさえ、血管を拡張させ、血圧を下げます。

3)α遮断薬のその他の作用

α遮断薬は、前立腺にあるα受容体に作用し、高血圧の他にも前立腺肥大を伴う排尿障害の治療にも用いられることがあります。

4)αβ遮断薬について

αβ遮断薬は、ここまで説明してきました、α受容体遮断による血管を拡げる作用と、β受容体遮断による心臓を休める作用の両方を持ち合わせています。

お薬の1つであるアーチスト®は、慢性心不全の治療に用いられたり、アロチノロール塩酸塩錠「DSP」®は震え(本態性振戦)の治療に用いられるなど、お薬によってもそれぞれ特徴があります。

3. どんな副作用があるの?

お薬の種類によっても様々ですが、主な副作用は、「めまい、ふらつき、動悸、頻脈、頭痛、倦怠感」などがあります。

ここに記した副作用がすべてではないので、気になる症状が出た場合は、医師または薬剤師に必ず相談しましょう。

4. 注意が必要なこと

<めまい、ふらつきなどに注意>
起立性低血圧による、めまい、動悸などがみられることがありますので注意が必要です。
気になる場合は、かかりつけの医師、薬剤師に相談しましょう。
起立性低血圧・・・急に立ち上がった時に血圧が下がり、ふらつきやめまい、ひどくなると、失神などを伴います。

5. おわりに

高血圧のお薬の1つであるα遮断薬について、どのように体の中で作用しているのか分かりましたでしょうか?

α遮断薬は、主に血管のα受容体に作用し、交感神経のはたらきをおさえることにより、血管を拡張させ、血圧を下げます。

高血圧のお薬が交感神経のシグナルを受けるα受容体と、β受容体の2種類の受容体に作用することによって、血圧を下げていることを覚えておきましょう。